元々は一人の主催1が提唱して始まった競技「フリックス・アレイ」。
この競技は、一言でまとめてしまえば「自作した”おはじき”を使った落としあい」。
ただし、フリックス・アレイは落とす以外に特定のぶつけ方をすることでもダメージを与える方法が存在するため、単なる腕力や機体の攻撃性能だけではなく、シュートテクニックや機体の機動力や変形2が活かせることが最大の特徴。
10年以上の歳月をかけて調整された競技バランスの奥深さは計り知れない。
機体づくりに関する制約も極論を言えばルール3さえ守っていればあとはなんでもあり。
「レギュレーション内にどれだけ夢を詰め込むか」といっても過言ではない。自己責任系競技玩具。
といっても結局人の手で扱うので、どんな機体が使いやすいかは人によって万別。
簡単な工作で仕上げた機体でもそれなりに戦えるのがフリックス・アレイのいい所ではあるけれど、
大人が本気で知恵と技能を注ぎ込んで作った個性的な機体を全力で駆使して戦いあう姿が見たい。
そんわけで、
フリックス・アレイの大会を
本気で開催させていただきました。
イベント概要
「フリックス・アレイ ~ほうじ茶杯~」
開催したのは2022年6月5日(日曜日)。
先日告知した大会の本番。
大会ということで、会場はレンタルスペース4を借りて少し上品な雰囲気で行った。
本大会は機体のレギュレーションはフリックスアレイ公式に準拠。
ルールも公式競技「アクティブバトル」5。
基本的には公式にならいつつ、参加者から複数の機体を使いたいという要望が多かったので、今大会はより多くの機体が活躍できる特別ルールで試合を行った6。
特別ルール
・1人最大3機まで登録可能。(1機でもOK)
・相棒となるリーダー機を1つ決め、試合の初めは必ずリーダー機を使う。
・試合で仕切り直しがかかるタイミング7で任意に使用機体の切替可能。
・その試合に初めて出す機体はレギュを満たした状態でシュートすること。
・HPは共通。(機体を切替しても引き継ぎ)
ちなみに、「この記事でフリックス・アレイを知った。どんな競技なのかつかみたい。」って人は以下の2記事も参照。
選手&機体紹介
個人が提唱し、賛同した有志が参戦するタイプの競技なので、競技人口は決して多くはない。
貴重なプレイヤーも全国に散ってしまっているため、関東8に来れる人というのも限られている。
さらに大会を思いついてから急遽の開催9だったので、日程の都合がつかなかった方もいた。
それでも、最終的に5人もの選手に参加して頂いた。
雨予報の中集まってくれた、勝利に飢える好奇心あふれる選手たちがこちら。
エントリーNo.1「ユージン」
懸念点は破損。
破損しなければ勝てる。
そう豪語するのがフリックス・アレイの主催ユージン選手(@masaiyuji)。
いつもは大会を開催してくれる側だけに、今回はいち選手として堂々参加できる大会ということで、大会開催が決まった時からすごく楽しみにしてた模様。
「安定してフリップアウトを狙っていきたい。」と語るだけあって、使用機体はバネによる高火力と安定性を両立した機体「ネオバンキッシュドライバー」をリーダーに添え、万が一のトラブル対策として超火力機「プリベイルヴィクター」を持つ2機構成。
エントリーNo.2「なるる」
万能なリーダー機を中心に
機体ごとに役割を割り振りました。
今回の機体切り替え可能なルールに対して一番戦略的な機体選定をしたのがなるる選手(@narul766)。
手加工で削りだしたという金属の剣をもつバランスタイプの「キセノサイドエンジェル」を中心に、タングステンウエイトで高い打撃力を持つ「マルクトシェキナ」、潜り込み性能が高い「リインバースエンジェル」の3機構成。
金属加工を使った機体が目を引くけれど、「機体性能よりも鍛えたフリッカー自身の身体の力をうまく使ってバランスよく戦って行けたらな」というフィジカル的な面でも頼もしい発言も。
エントリーNo.3「harrycs」
全機体を
潜り込みやすくしました。
と、なぜかアッパー機にこだわった機体選定をしたのが、ルールの隙をついた変わったギミックを作らせたら天下一品のharrycs選手(@harrycs9)。
バネの力で相手をカチアゲるギミックを持つヒロイックな見た目の「ライトニングフォース」がリーダー。
ローラーで相手を持ち上げる「レッドサイクロン」。
潜り込みやすい形状なだけはなく内部に多数の隠しギミックを搭載した機体「ナイトメア」の3機構成。
アッパー機にこだわっただけあって、アッパーのバリエーションがやたらと豊富。
なお、かなり怪しい人になってしまった写真の加工は本人の要望。10
エントリーNo.4「しゅん」
ただただ突撃。
そう語る、シンプルな作戦とシンプルな機体を揃えた、今回最年少の参加者しゅん選手。
そのコンセプト通りシンプルな見た目でありながら受け流し性能が高い機体「シンプルストライカー」を主に使用。
それに加えて保険として、壊れることはまずない圧倒的な剛性を持つ「超武装装甲グリフォン改」と「ヴォルテックNINJA」の3機構成。
エントリーNo.5「pico」
バ火力で吹っ飛ばしたいな~
そう軽い口調で恐ろしいことを語るのが火力大好きpico選手(@pico_admiral)。
自ら開発したギアによる増力機構(スピード機構)「スペリオルシステム」を持ち込み、圧倒的な攻撃力を振るう。
機体は別の攻撃手段も搭載した攻撃力全振の破壊神「バスターファフニール」と3Dプリンター機の強みを生かした予備機「バスターファフニールS」。
それに加えてバランスの良い攻撃特化機「スロウスエッジ」の3機構成。
スペリオルシステム、
ばね固め、シリコンスプレー多め、破壊力マシマシ。
大会方式・光景
参加人数5人なので、まずは全員で総当たり戦。11
その後、上位2人で最終決戦12という形式で実施。
大会なので雰囲気は真剣そのもの。
先攻後攻を決めるためのアクティブシュート。
同時にシュートしてより遠くに進んだ方が先行をとれるので読み合いによる駆け引きが大事。
避けるも良し、あえて全力でぶつかるのも良し。フェイントだって活かせる。
落としあい競技なので、攻撃側が狙うのは当然相手を場外に出す「フリップアウト」。
攻撃力を生かして正面から押し出したり、機体のギミックを活用して相手を飛ばそうとしたり、
一口に場外狙いといっても個性が出る。
精密なシュートで着実にダメージを与える方法の一つが、フリックス・アレイの特徴の一つ「マインヒット」。
1回のシュートで自機と相手と「フリップマイン」の3つが接触すれば成立する攻撃方法なので、狙い撃つ精度と機動力が重要。
他にも次のターンを見据えて攻撃を受けにくい位置に移動するのを狙う等、戦術の幅がとにかく広い。
全体を俯瞰して最適な道筋を組み立てるかがカギ。
ただし、自滅だけは注意。
自滅すると相手に与えたダメージはすべて無効になり、自分だけが一方的にペナルティダメージを受ける。
防御側もただ見守るだけではない。
専用の盾「フリップバリケード」を使ったガードができるので、相手の攻撃を読んで上手く守れれば、自分が場外されてしまうことを防げる。
だけど、バリケードは強い衝撃を受けると割れてしまう。
いかに、相手の狙いを読み切るなり、反射神経を生かすなりしてバリケードの芯で捉えられるかが肝心。
決勝戦&結果
大会開催の開催目的である「真剣勝負で勝敗に対して心の底から一喜一憂する姿に心震えたい。」的には文句ないほど予選から大激戦。
だけど順位はついてしまうもの。
そんな予選を勝ち抜いたのは・・・
ユージン選手とpico選手。
なので、ユージン選手 VS pico選手で優勝決定戦。
どちらの選手も機体・得意戦術共に超攻撃力重視。
機体破損するほどの激戦を制して優勝の栄光を手にしたのは・・・
pico選手!!
自分の機体を信じて最大火力を叩き込みつづけたpico選手が優勝。
おめでとうございます。
予選では全勝したユージン選手は、試合前インタビューの『破損しなければ勝てる』を見事に回収する形になってしまい惜しくも準優勝。
優勝したpico選手に優勝の秘訣を尋ねてみたところ
結局の所、火力だよね!
という、火力ジャンキーらしい回答が返ってきた。13
火力も流石だけど、活かせる場面で確実に決めるという安定性したシュートテクニックが本当にすごい。
何よりも大会という雰囲気に呑まれずブレずに自分のプレイスタイルを貫き通したことが勝利の決め手になったようにも見える。
幼いころから現在まで別の界隈とはいえ大会というイベント自体の経験値を積んでいる方はやはり強かった。
さいごに
というわけでフリックス・アレイの半公式大会「ほうじ茶杯」でした。
参加していただいた方々本当にありがとうございました。
今回の結果だけ見ると決勝戦が高火力機使い通しのぶつかり合いだったので、火力機が強く見えてしまいがちだけれど、実際の試合を見てみると試合展開が少しでも違っていたら勝敗は変わっていた接戦が多く、テクニック系のプレイスタイルでも十分勝機があるのがフリックス・アレイの競技バランスの面白い所。14
今回、自分は大会主催な上に、方針や作戦等を事前インタビューするので、平等を期すために選手としては不参加だったけど、いい雰囲気の中で全力で戦えるのは本当に羨ましかった。
機会があれば、今度は自分も選手として大会に参加したい・・・
- ユージンさん。今回は選手として参加しているのでそちらで紹介。[↩]
- 特に展開する変形[↩]
- レギュレーションとマナー[↩]
- 光が丘公園の近く。[↩]
- 厳密には「上級アクティブバトル(フリップスペル無し)」というルール。[↩]
- 結論から言うと、「機体の使い分け」よりも「トラブル(主に破損)時の予備」として活用する選手が多かった印象。[↩]
- 具体的にはアクティブシュート前。[↩]
- 光が丘[↩]
- 2週間前に告知[↩]
- 「目線と目盛りを入れとほしい。」とのこと[↩]
- (5×4)/2=全10試合。[↩]
- 同着がいたら最終決戦がトーナメント風になる。[↩]
- 事前に「フィジカルかな?」以外の回答をお願いした。[↩]
- なんでも関西の大会ではテクニック系の機体で優勝した人もいるとか・・・[↩]
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