先日紹介したナマコブシフリックス2号機「ナマコブシR」。
もし今後ナマコブシを作りたい人がいたときの参考になるかもしれないのでメイキングを紹介してみる。
製作期間は2週間ほど。
回線不調でネットが満足に使えないおかげで空いた時間を利用して、コツコツと作った。
メイキング・造形編
寸法採取
まずはナマコブシポケモンキッズを参考に寸法を採取。
それの比率を元にフリックスサイズに拡大したときの寸法を求める。
スケッチ
上で取得した寸法を元に、ポケモンキッズナマコブシを見ながらどうすればナマコブシらしさを出せるのか試行錯誤しながら完成予定の現物大サイズでスケッチする。
ナマコブシの潰れたかけた餅のような曲線はもはや芸術。
型紙作成(底部分)
重量計算
前回ナマコブシフリックスを作った時に、パテ不足+パテだと重量ギリギリで体積を増やしにくかった反省点から、最初は全てABS積層でナマコブシのフォルムを作る予定だった。
ところが、いつも使っているABS板の密度は約1.2でエポキシパテとそこまでの大差が無い。
この方法だと重量オーバーになるのが計算上明らかになったので設計変更。
中空造形を試みる方針に。
ちなみに積層(ミルフィーユ)製法の場合の重量は、ABS板の厚みが1mmとわかっているので「設計上切り出すパールの総面積×1mm(厚み)×1.2(密度)+フリスクケースの重さ」で簡単に概算できる。
プラ積層(底)
底部分はフリックスの移動性能、防御力を決める大事な部分。
ここがガタガタだと接地力が大幅に下がってしまうので、しっかり地面に密着するよう念入りに作成。
その後丸くなるように切り削り形を整える。
今回はパテを盛るし塗装もする。
なのでプラ造形パートは割とアバウト。
色が濃すぎて使いにくいので余っているピンクのアクリルパウダーも積極的に使用した。
プラ造形(下)
下側(シャーシ装着部分)を作成する。
フリックスという競技的に、この部分が一番接触しやすいので頑丈に作る。
1mmABS板は熱を加えなくともゆっくり力をかければそれなりに曲がる。
質量削減の為に底の部分も中空化。
ここを作っていたらふと「ウエイトを入れるギミック」を思いついたので実装+調整。
下手に造形するよりも、この時点でパテを盛って小判型の機体にしたほうがフリックスとしては強いかのかもしれない。
上側の中空部分作成
蓋の上に柱を立てて、その周りにドーム状になるように曲げたABSを接着剤任せでくっつける。
少しでも隙間を埋めて芯となるベースが完成。
この時点だと正直妙にみすぼらしい。
第1次パテ盛~削り
芯の周りにエポキシパテを盛り、ナマコブシの曲線美の再現を目指す。
この際、隙間からケース内にパテが入り込んでしまわない様に注意。
固まったらナマコブシに思いを馳せながら(重要)、ルーターを駆使してひたすら削って形を仕上げる。感覚としてはもはや削り出しの彫刻。
マジックで顔の下書きをしておくと完成図のイメージがしやすいかもしれない。
この時点で少しでも軽くするため、全体を整えつつ大幅に削ってひと回り位小さくする。
ひたすら無心で作業するパート。
とげの取り付け芯装着
前回は、固まったパテ同士を後からくっつけようとして苦戦したので今回は最初から一体成型。
ナマコブシのとげを作るため、削り上げたナマコボディに穴を空け、ABSパイプを取り付ける。
重量を軽くするためパイプは短めにする。
接続のために空けた穴からボディ内部に入り込んでしまわないように注意。
パイプは接着剤でしっかりと固定する。
第2次パテ盛り
これの全体にパテを盛りナマコブシの形を作る。
この時点で恥ずかしながら、比率通りにトゲを作ると重量オーバーすることが判明したので、とげ同士のバランスは保ちつつ、短めにデフォルメした。
水で濡らした指でパテの表面を滑らかに整える。
形状仕上げ+軽量化
そして重量を満たせるまでひたすら計量化。
結局表面の削りだけではどうしようもなかったので、シャーシのフレームシャーシ化+シャーシ接続部に穴を空け大幅に軽くする。シャーシ接続部に開けた穴から工具を入れて中からも削った。
その後「神ヤスの240」を使って表面をなるべく滑らかになるよう削り上げた。
顔堀り
文字通り顔を決める一番重要なパート(・大・)。
マジックで下書きして、それを元にルーターに細いビットをつけて削る。
ナマコブシらしくするために、前回のナマコブシよりも線を細くした。
これで造形は完了。
メイキング・塗装編
今回は生物感を出すためにつや消しに挑戦。
つや消しのグレーとピンクはデフォ色には存在しないので、つやありの元色に「フラットベース」を混ぜて作る形になる。
塗装(サーフェイサー)
一度サーフェイサーを吹く。
今回は重量ギリギリ。
塗料すらなるべく減らして軽くしたいので厚塗りはせず最低限に。
グレーになると凹凸がよくわかるので、整えるように削りなおす。
削ることでサーフェイサーの細かい傷・凹みを埋める効果がよくわかる。
整えたら改めて一度サーフェイサーを吹く。
本塗り(スモークグレーっぽい部分)
乾燥後エアブラシで黒い部分を塗る。
今回はノーマルケースなのでかつて作ったフリスクケース塗装用治具もフル活用。
使用した塗料はスモークグレー(C101)+クールホワイト(GX1)、それに艶を消すためにフラットベース(なめらか・スムース)(C189)を加えた。
比率は適当。ナマコブシを見ながらそれっぽい色を調合する。
目と口
口を白、目をとげと同じピンク色で塗る。
色の詳細は口はクールホワイト(GX1)原色。目(とげ)は後述。
爪楊枝の先端を使って、少しずつ先に掘っておいたモールドに塗料を流し込む感じで塗っていく。
とげ
使用した塗料はマルーン(C100)+ピンク(桃)(C63)+クールホワイト(GX1)、それにフラットベース(なめらか・スムース)(C189)。
こちらも適当に調合。あまりに適当で再調合できる気がしないので、余った塗料は空き瓶に保管した。
形状が形状だけにマスキングする自信が無かったので、トゲは筆塗り。
これで完了という最後のパート。
ここで事件は起きた。
とげの塗料をエアブラシ用レベルに薄めてしまったため、垂れてせっかく塗った黒い部分が剥がれてしまった。
飾ることメインの模型ならば、塗り直すのが正しいんだろうけど、フリックスはぶつけ合って遊ぶもの。綺麗に塗っても実戦を重ねるうちにやがては剥げてしまう。
なので、割り切って剥げた部分を筆塗でごまかして・・・
遂に完成!!
まとめと反省
・エポキシパテを削ると予想以上に粉が飛ぶ。
・削りだし作業は割と無心になれる。
・ABS造形で大きいフリックスを作る場合、事前の重量見積りはした方が無難。
・フラットベースの艶消し効果は絶大。
・筆塗の時は塗料はたれない程度に濃いめにする。
・最後だからと油断しない。
・ナマコブシはやっぱりかわいい。
というわけでナマコブシRのメイキングでした。
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