昨日紹介したUSB簡易可変電源のメイキング。
※自分が使う限り安定して使えていますが、このブログを参考に作って見る場合、自己責任でお願いします。念のため。
前提条件
欲しいものの条件は
・単三電池の代用としても使いたいので最低出力1.5V以下
・最大24V以上(よく使われる電圧なので)
・USB(5V)から供給
の3つ。
またせっかく自分で作るので
・使いやすく
・なるべくきれいに仕上げる
・持ち歩き前提なのでコンパクトに
も目標。
「欲しいものが無いから仕方なく作った」案件ではあるけれど、自分の知る限りUSBから電源をとって使える可変電源を見たことがないので、『せっかくだし作ってみるか!』というのも作った理由の一つ。
自分が知らないだけで難しい物では無いから、やる人は勝手にやってる事なのかもしれない。
構造
回路的にはシンプル。
基本的にはDC/DC昇降圧モジュールと電流計、電圧計を繋ぐだけ。
ただし単なる昇圧モジュール・降圧モジュールと違って、昇圧も降圧も可能な昇降圧モジュールはかなり種類が少ないので今回の用途(1.5V以下が出来る)となると探すのが大変。
理想のモジュールを見つけさえすればほぼ完成といっても過言じゃないかもしれない。
使った物
DC/DC昇降圧モジュール
「DSN6000AUD」
これ一つで昇圧も降圧もこなせる便利な今回のメインのモジュール。
入力5VからOKで出力も1.25〜35Vなので、今回の理想を十分満たせるスペック。
最大出力電流は3A(後に重要)。
aitendoにて480円。
余談だけど、生産時期の違いなのか、赤と青の2種類の基板がある。
部品の配置が僅かに違うけど、使い方は同じ。
性能も多分同じ。
LEDデジタルパネルメーター
「DE-2645-02[100V・10A]」
電流計と電圧計が付いたパネルメーター。
今回のメインその2。
秋月電子で1000円。
aitendoで似たようなレベルメータが500円で買えるけど、気分の問題であえてこっちにした。
注意点は「1Aまで測定できるモデル」と「10Aまで測定できるモデル」の2種類があること。
今回使うDC/DCモジュールが3Aまで出力できるので10Aまで測れる方を選んだ。
ケース
中にピッタリ収まる基板付き(今回は使わないけど)。1
パネルメータとかを取り付けられる位の大きさがあるABS(?)ケースを購入。
サイズさえ満たしていれば何でもOK。
aitendoで270円。
ボリューム(可変抵抗)
秋月で125円の「基盤取付用2連ボリューム A10kΩ」を使用。
今回使うDC/DCモジュールに付いていた可変抵抗と同等程度の抵抗値のもの。
「つまみ」はお好みで。
microUSBコネクタ
「MCUBF09D5-2P」
電源供給用に適当に。
aitendoで100円。
今回一番細かいはんだ付けが必要なモジュール。
その他
バナナプラグソケット(赤・黒)、バナナ⇔ワニ口のケーブル等必要なものを購入。
今回は安いのが売り切れていたので、
一つ80円の少し高級なやつ。
スイッチ・USBケーブル・モバイルバッテリーは手持ちのものを適当に。
組立
一応順番を書いたけど、加工がやりやすい順にやればOK。
①パーツを買ってくる
これをしないと始まらない。
秋葉原のパーツ屋(主に秋月電子通商とAitendo)を巡って調達した。
②回路の動作確認
パーツが揃ったら回路の動作確認。
ミノムシクリップ等を使って回路を仮組して、部品が正常に動くかと自分の脳内設計が正しいかの確認。
仮組みなのでうっかりショートに注意。
ここが出来れば、机上の空論から現実的に出来ることにレベルアップ。一安心。
③回路の改造
もともと付いているDC/DCモジュールの可変抵抗を取り外して、ボリューム型の可変抵抗に取り替える。
取り替えたら動作確認。
注意点は可変抵抗の状態によっては、モジュールの出力上限である35Vを超えた出力が出てしまうこと。
動作確認はボリュームを真ん中くらいに設定してからやることを推奨。
④端子や画面のレイアウトを決める
パーツが物理的に干渉しないか、加工難易度はどうかを気にしつつ、何よりも完成後の使い勝手をイメージしながらボリュームや画面(レベルメータ)、出力ソケットのレイアウトを決める。
今回は画面を真ん中に配置して、ソケットを上部に、ボリュームを下側に配置するデザインにした。
⑤ケースを加工する
パーツを取り付けるための穴を工具を駆使してを開ける。
ここは完全にプラスチック工作。
電源用USB取り付け用など、側面の加工も忘れずに。
⑥ケースにつけるパーツを取り付ける
ボリューム、ジャック、レベルメータ等のケースに固定するパーツを本体に固定する。
完成度が一気に高まった気がする場面。
⑦配線し各電子部品を本体内に組み込む
それぞれのモジュールをはんだ付けして回路として仕上げて、ケース内に収める。
安定して固定できるように、必要に応じてプラ板で仕切りなどを作る。
これで一応は完成!
ラベル
メモリがなくても一応は使えるけど、
・回転角と電圧が比例の関係では無いので、目安となるメモリがないと合わせにくい(特に12V~24V)。
・ボリュームは回ってしまうけどモジュールの出力上限的に35V超えはマズイ。
そんなわけで、使い勝手のさらなる向上と、他人に貸した時に操作がわかってもらえるように、ラベルをCADソフト(DraftSight)を使って作成。
メモリの振り方は「実機で欲しい電圧に合わせる→ボリュームの角度を分度器で角度を図る→図面に反映する」というゴリ押し感もあるけど、確実な方法。
はっきりした色を使いたいので、印刷はレーザープリンターを使用。
一般家庭にカラーレーザープリンターは無いけれど、コンビニコピー機で印刷すればOK。
印刷したもの表面にラミネーフィルム、裏面に両面テープを貼り、切り出してあげればラベルの完成。
これを本体に貼って、メモリがきちんと機能していることが確認できたら
完全に完成!!
ちなみにラベルの色は
・背景色はケースの色に合わせて「黒」。
・メモリは見やすい「黄色」。
・メモリの出力上限を超えてしまっている部分は警告色である「赤」。
・電源スイッチと電源入力の表示は他とは色が被らない「青」。
という感じで決めた。
改造の歴史
1:とりあえず完成
目的の動作自体はするので、作った当初はこれで十分満足していた、はずだった。
2:電源スイッチ追加
スイッチがないとON・OFFに両手が必要で不便ということに気がついてしまったので。
3:ラベル作成
メモリがあったほうが楽なのと、見た目の完成度を高めるためにラベル作成。
4:ラベル(最終版)作成
5Vのメモリをつけ忘れたのと電源のON/OFF、電源入力の表示も欲しかったので改良。
また、インクジェットだとラベルとして淡かったのでレーザープリンターで印刷。
現状のVer。
さいごに
以上、USB簡易可変電源のメイキングについてまとめてみました。
DC/DCモジュールの限界を超えた35V以上が出力できてしまうので、決して万人向けではないけれど、似たようなものを作ろうと思っている人の参考になれば幸いです。
- 実はケースと基板でネジ穴の位置があっていないけど気にしない。[↩]
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